ロボットケーブルの断線対策4つと断線の主なメカニズム・原因を解説
ロボットケーブルは、産業用ロボットなどに使用される耐屈曲・耐ねじれ性に優れたケーブルです。
数百万回の可動に耐える構造設計が施されており、他のケーブルと比べても頑丈です。
しかしそれでも、断線が起きるリスクはゼロではありません。
「ロボットケーブルの導入に際して、断線しないように予め対策を打っておきたい」とお考えのメーカー担当者様もいらっしゃるでしょう。
今回はロボットケーブルの断線対策4つや、ロボットケーブルが屈曲・断線する主なメカニズムなどについてまとめました。
ケーブルメーカーの立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、ロボットケーブルの断線に関する心配がなくなります。
ロボットケーブルの断線対策4つ
ロボットケーブルの主な断線対策は、以下の4つです。
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取り出しや配線の際は捻れないようにする
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適切な長さで配線する
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ケーブル同士が干渉しないように配線する
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固定は必要最低限にする
それぞれ詳しく見てみましょう。
取り出しや配線の際は捻れないようにする
ロボットケーブルは、繰り返しの曲げや捻れに耐える構造を持っています。
しかし取り出しや配線時の捻れは、ロボットケーブルに大きな負担をかけ、断線の原因になります。
ロボットケーブルが捻れると、絶縁線心の撚りが乱れてしまうからです。
タバ巻きになったロボットケーブルを取り出す際は、捻れないように注意しましょう。同様に配線時も、捻れないようにしましょう。
特に配線時にロボットケーブルが捻れている場合、その捻れが数ヶ月・数年と続きます。そのため断線しやすくなるでしょう。
断線対策は、配線時から始まっています。
適切な長さで配線する
ロボットケーブルの長さも、断線を防ぐために重要です。
ロボットケーブルの長さは、長すぎず短すぎず、適切な長さでなければなりません。
ロボットケーブルが長いと、ケーブル同士が絡みやすくなります。またケーブルガイドとの摩擦が激しくなり、シース(最外層を覆う保護被覆)が破れやすくなります。
ケーブルが絡まったりシースが破れたりすると、断線へとつながりかねません。
一方ロボットケーブルが短すぎると、過度な張力がかかってしまいます。また長い場合と同様に、ケーブルガイドとの摩擦によってシースが破れやすくなります。
こちらも断線へとつながりかねません。
ロボットケーブルは「動作範囲全体を無理なくカバーでき、余分なたるみが出ない最小限の長さ」が最適です。
ロボットケーブルの長さについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:ロボットケーブルの曲げ半径とは?求め方や重要性をわかりやすく解説
ケーブル同士が干渉しないように配線する
複数のロボットケーブルを並列して配線する場合、それぞれが干渉しないようにしましょう。
複数のロボットケーブルが干渉し合うと、摩耗や局所的な屈曲によって断線の原因になります。
配線時に、各ロボットケーブルの間に最低数ミリのスペースを空けるようにしてください。
ケーブル同士の干渉を避けるための主な対処法は、以下の3つです。
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仕切り版を使用する
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フラットケーブルを使用する
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多芯ケーブルを使用する
多芯ケーブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:多芯ケーブルとは?構造や種類、芯数による違いなどについて解説
固定は必要最低限にする
固定箇所が多すぎると、ロボットケーブルの自然な動きを妨げ、特定部位に過度なストレスが集中します。
これが断線へとつながりかねません。
そのためロボットケーブルを配線する際は、固定を必要最小限にしましょう。
特に可動部付近はある程度緩く配線しておくことで、急激に曲がったり張力が加わったりするのを防げます。
ロボットケーブルが屈曲、断線する主なメカニズム・原因
ロボットケーブルが屈曲、断線する主なメカニズム・原因は以下の3つです。
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コークスクリュー現象
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絶縁体の損傷
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シースの損傷
1つずつ詳しく解説します。
コークスクリュー現象
コークスクリュー現象とは、ケーブルが曲げられたり引っ張られたりして、螺旋状に捻れて変形してしまう現象です。蛇やバネのように、くねくねとした見た目になります。
コークスクリュー現象が起こると、断線が起きやすくなります。曲げや捻れを繰り返すなかで、導体内部に過剰なストレスがかかるからです。
特にロボットケーブルが可動部で使用される場合、捻れが発生しやすくなります。
コークスクリュー現象を防ぐための対策は、以下のとおりです。
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ケーブルの心線を束撚りにする
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耐屈曲性に優れたケーブルを使用する
絶縁体の損傷
絶縁体は、導体同士が接触して短絡(ショート)するのを防ぐための被覆層です。
絶縁体が損傷すると、導体同士が接触してショートや火花などの危険を引き起こす原因になります。
絶縁体は、過度な屈曲や摩耗、化学薬品の影響などで損傷します。損傷が進行すると、最終的には断線へとつながるでしょう。
最悪の場合、火災などの重大事故を引き起こす可能性もゼロではありません。
絶縁体の損傷を防ぐには、本記事で解説した断線対策に加えて、素材選びが大切です。
シースの損傷
シースとは、ロボットケーブルの最外層を覆う保護被覆のことです。
物理的な摩耗や衝撃、化学薬品、湿気などから内部の芯線を保護する役割があります。
シースも絶縁体と同様に、損傷すると断線のリスクがあります。
シースが損傷すると、その内側にある絶縁体が外部の影響を受けやすくなるからです。そのため先ほど解説した形で絶縁体が損傷して、断線へとつながるのです。
断線を防ぐには絶縁体への対策が欠かせません。そして絶縁体の損傷を防ぐにはシースへの対策が欠かせません。
断線しないロボットケーブルはニューテックスにおまかせください
株式会社ニューテックスは、ロボットや産業機械に使われるケーブルを販売している企業です。本社は埼玉県富士見市にあり、2024年には創業60年を迎えました。
多芯ケーブルをはじめとする各種標準品のケーブルに加え、用途に応じたカスタムケーブルの設計・製造にも対応しており、幅広い業界のニーズに応えています。
もちろん断線に強いロボットケーブルの提供も可能です。
カスタムできる内容・箇所は以下のとおりです。
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ノイズ対策:銅編組、横巻シールド、2重・3重シールド
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施工性:柔軟性、複合化、摩耗性
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細径化:構造検討(導体サイズ、絶縁体厚さ、シース厚さ、ケーブル構成)
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難燃性:UL VW-1試験対応、垂直トレイ難燃試験対応
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使用環境:耐熱性、耐油性、クリーンルーム 高張力化:特殊導体
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高屈曲性:特殊導体、特殊エラストマー
標準納期は1〜3ヶ月です。
他社が製造できない仕様にも対応可能で、一品一様のオンリーワン製品をご提供いたします。
まとめ
ロボットケーブルの断線対策4つや、ロボットケーブルが屈曲・断線する主なメカニズムなどについて解説しました。
ロボットケーブルの断線を防ぐには、配置と使用する素材に気をつけることが大切です。
株式会社ニューテックスでは標準品のケーブルに加えて、カスタムケーブルも提供しています。ぜひ以下より、詳細をご確認ください。
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